2008年02月16日

私のほしいもの・・・虹や月あかりからもらってきたのです・・・・

tyuripu058.jpg これらのわたくしのおはなしは、
            みんな林や野はらや鉄道線路やらで、
              虹や月あかりからもらってきたのです


『注文の多い料理店』 



  わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも きれいにすきとおった風を食べ 桃いろのうつくしい朝の日光を のむことができます。

  また わたくしは はたけや森の中で ひどいぼろぼろのきものがいちばんすばらしい びろうどや羅紗や、宝石いりの きものに かはっているのをたびたび見ました。

 
 わたくしは そういうきれいな たべものや きものをすきです。
 
  これらのわたくしのおはなしは みんな林や野はらや鉄道線路やらで 虹や月あかりからもらってきたのです。
 
  ほんとうに かしはばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかったり  十一月の山の風のなかに ふるえながら立ったりしますと もうどうしても こんな気がしてしかたないのです。

  ほんとうにもう どうしてもこんなことがあるようでしかたないということを、わたくしはそのとおり書いたまでです。
 
  ですから これらのなかには あなたのためになるところもあるでしょう し  ただそれっきりのところもあるでしょうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。

なんのことだか、わけのわからないところ もあるでしょうが、そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。

  けれど、わたくいには、これらのちいさな ものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを。

  どんなにねがうかわかりません。


             大正十二年十二月二十日  宮沢賢治

                                   (表記を現代語に直しています) 
kenji.jpg
 
  宮澤賢治ほど、伝えられている宗教的概念と 農民と一緒に苦労ている姿、宇宙に興味を持ち 地質学を研究している科学者でもある賢治さんと、 動物や宇宙を中心とした おしゃれでユーモアあふれる作品とのあいだには、いちじるしくかけ離れていると思えるくらい別人のような、奥の深さを感じてしまう作品が多いです。

そしてそういう作品を私は大好きです。
どんな情景で どんな気持ちで 賢治さんが書いたんだろうと 考えるだけで楽しくなってきます。
                   kenjisakuhin.jpg

posted by mari at 09:31| 岩手 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 宮沢賢治作品とイーハトーブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

人気ブログランキングへ

ランキングに参加しています。 見に来た方、 黒ハート のポチット よろしくね (~o~)v

人気ブログランキングへランキングに参加しています。
あなたの「クリック!」に感謝いたします。 人気ブログランキングへありがとう〜〜〜
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。