
雛のお節句来たけれど、
私はなんにも持たないの。
となりの雛は うつくしい、
けれどもあれは ひとのもの。
私はちいさなお人形と
ふたりでお菱をたべましょう。
金子みすゞ「美しい町・上」

・・・・・・・絵・いわさきちひろ「和服の少女」・・・・・・
金子みすゞ
本名 金子テル。
明治36年 山口県大津郡千崎村(今の長門市)に生まれる。
大正末期から昭和の初期に掛けて、すぐれた童謡詩を発表し、西條八十に「若き童謡詩人の巨星」とまで賞賛されながら 昭和5年26歳の若さで世を去った。
没後、50年を経て 512編の原稿が矢崎節夫氏の努力によって見つかり全集として出版された。


