2008年04月05日

こぶし

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こぶし 

「兄さん。ヒームカさんはほんたうに美しいね。

兄さん。この前ね、僕、こゝからかたくりの花を投げてあげたんだよ。
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ヒームカさんのおっかさんへは白いこぶしの花をあげたんだよ。

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そしたら西風がね、だまって持って行って呉(く)れたよ。」


「さうかい。ハッハ。まあいゝよ。

あの雲はあしたの朝はもう霽(は)れてるよ。

ヒームカさんがまばゆい新らしい碧(あを)いきものを着て お日さまの出るころは、きっと一番さきにお前にあいさつするぜ。
そいつはもうきっとなんだ。」


「だけど兄さん。僕、今度は、何の花をあげたらいゝだらうね。

もう僕のとこには何の花もないんだよ。」


「うん、そいつはね、おれの所にね、桜草があるよ、それをお前にやらう。」
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「ありがたう、兄さん。」

                               宮沢賢治 童話「楢ノ木大学士の野宿」


「楢ノ木大学士の野宿」は、宝石学者の楢ノ木大学士が、良質の蛋白石(オパール)探しを頼まれて東京から岩手県に出かけ、山の中や海岸を歩きまわり、3晩にわたって野宿し、まわりの岩頸の山たちや鉱石たちが言い合いをしている夢を見る話です。
3夜目の夢では、恐竜が出てきて喰われそうになったりします。
楢ノ木大学士は、 野宿をするのが好きで、山や鉱石が話をする夢に喜悦し、賢治自身が投影されている童話です。
 

カタクリは賢治作品にもしばしば登場します。
「ヒームカさん」は、玉山にある「姫神山」のことと言われています。

この童話では、蛇紋岩のきものを着ている女の子の山として描かれています。

「ヒームカさん」の「おっかさん」は「岩手山」でしょう?
だとすれば、こんな大木が似合うような気がします。

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マグノリアの花です。


かたくり
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(ユリ科カタクリ属)片栗
比較的日光の差す落葉広葉樹林の林床に群生し、早春に下を向いた薄紫から桃色の花を咲かせる。
春を告げる「スプリング・エフェメラル」の一つ。


コブシ
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(モクレン科モクレン属)辛夷
高さ10〜20mになる落葉高木。
花の咲く時期は 真っ白い雪が積もったように見事です。



桜草
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ニホンサクラソウ(サクラソウ科サクラソウ属)日本桜草
山間の湿地や河岸の原野などに生える多年草。
日本原産。
自生地は激減している。
「サクラソウ」というのは本来、日本産の植物のみを指す名称でした。
しかし、ほかのプリムラ(サクラソウ)属の植物と区別するために、ニホンサクラソウと呼ばれるようになっています。

宮沢賢治が描いている桜草は、しばしば
プリムラという振り仮名が振られていることで、、これは、学名 「Primula sieboldii」からの振り仮名で、西洋桜草を指すわけではないようです。

賢治の時代には、盛岡から外山へ越える北上山地に、桜草の群落があちこちに見られたようです。


姫神山
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玉山の中央にそびえる左右非対称的な独立峰で、岩手山とは対照的に女性的な山容です。
全山が花崗岩からなり、頂上付近には花崗岩の露岩が多く見られ、岩手山をはじめ、広々として展望が望まれます。

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姫神というロマンチックな名前が付けられたこの山には色々な伝説が残っているようです。
北上川を天の川にたとえると彦星が岩手山で織姫が姫神山。
しかし、山の世界にも三角関係があるようで、岩手山をめぐり姫神山と早池峰山は因縁の仲になってしまったとか。
それ以来、岩手山と姫神山が晴れると早池峰山は曇り、早池峰山と姫神山が晴れると岩手山は曇ると言います。
秋田駒ヶ岳の男女岳、女岳、男岳にも三角関係の言い伝えが残っていますが東北の山の世界は複雑な伝説が多いようです。

*写真は、日本最大級の投稿型ストックフォト(写真販売)サイト「フォトライブラリーから「商用利用申請」をしてダンロードしたものです。

posted by mari at 01:28| 岩手 ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | 宮沢賢治作品とイーハトーブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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