2008年02月26日

変わらぬもの・・岩手山

「くらかけの雪」の詩碑.jpg
   ・・・・・・「くらかけの雪」の詩碑 ・・・・・・

くらかけ山の雪

   たよりになるのは

   くらかけつづきの雪ばかり
 

   野はらも はやしも
   ぽしやぽしやしたり黝(くす)んだりして

   すこしもあてにならないので

   ほんたうにそんな酵母(かうぼ)のふうの

   朧(おぼ)ろなふぶきですけれども

   ほのかなのぞみを送るのは
   くらかけ山の雪ばかり

     (ひとつの古風(こふう)な信仰です) 
 詩碑 2.jpg


     岩手山


  そらの散乱反射のなかに
 
  古ぼけて黒くゑぐるもの
 
  ひしめく微塵の深みの底に  
 
  きたなくしろく澱むもの

         (「岩手山」より)


変わらないもの・・・・

野原や林は、四季うつろうもので、常ならざるものです。

なのに、
くらかけ山の雪は、冬になればいつもと変わらぬ姿を現わす、変わらざるもの・・・
と賢治は言っています。
くらかけの雪.jpg

雪それ自体は、はかなく消え去るものです。
この『はかなく消え去る うつろいゆくもの』こそが変わらないのである・・というのです。

ほかは何もあてにならない。
この時間・空間を隔てても変わらぬ、ただひとつの真理を 賢治は岩手山に望みを託したのでしょう。
柳沢から臨む岩手山.jpg
・・・・・柳沢から臨む岩手山・・・・


鞍掛山は岩手山の南西に位置し、馬の背に乗せた鞍のような形状をした標高897mの山です。

※「イーハトーブの風景地」は、鞍掛山(滝沢村)、七つ森(雫石町)、狼森(同)、釜淵の滝(花巻市)、五輪峠(東和町)、種山ヶ原(江刺市・住田町)の6ヶ所で構成されております。

 宮沢賢治の作品の源泉となったこの鞍掛山を含む岩手県内6カ所の自然景観が「イーハトーブの風景地」として、景観の重要文化財にあたる国指定名勝に指定されました。

 岩手山は・・・
ずうつと昔、岩手山が、何べんも噴火しました。その灰でそこらはすつかり埋まりました。

(中 略)
 噴火がやつとしづまると、野原や丘には、穂のある草や穂のない草が、南の方からだんだん生えて、たうとうそこらいつぱいになり、それから柏や松も生えだし、しまひに、いまの四つの森ができました。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第8巻『狼森と笊森、盗森』P.29」


 
 狼 森
 すると森の奥の方で何かパチパチ音がしました。急いでそつちへ行つて見ますと、すきとほつたばら色の火がどんどん燃えてゐて、狼が九匹、くるくるくるくる、火のまはりを踊つてかけ歩いてゐるのでした。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第8巻『狼森と笊森、盗森』P.33」

 狼森(オイノモリ)と岩手山.jpg
・・・・・狼森(オイノモリ)と岩手山・・・・

 笊 森
 山男は、金いろの眼を皿のやうにし、せなかをかがめて、にしね山のひのき林のなかを、兎をねらつてあるいてゐました。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第8巻『狼森と笊森、盗森』P.35」
 
     相の沢キャンプ場.jpg
            ・・・・・・相の沢キャンプ場・・・・・・     
盗 森

 すると森の奥から、まつくろな手の長い大きな大きな男が出て来て、まるでさけるやうな声で云ひました。
 「何だと。おれをぬすとだと。さう云うやつは、みんなたゝき潰してやるぞ。ぜんたい何の証拠があるんだ。」
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第8巻『狼森と笊森、盗森』P.38」

参考まで私の持っている本を 紹介しました。

皆さんもよかったら読んで 賢治とイーハトーブ岩手に浸ってみませんか

春子谷地湿原より臨む岩手山.jpg
・・・・・・春子谷地湿原より臨む岩手山


小岩井牧野.jpg
林の向こうは小岩井の牧場

岩手山と七つ森
BCB7A4C4BFB9B9E7C0AEBCCCBFBF1.jpg
七つ森の合成写真・パンフレットより

賢治の作品には「七つ森」も沢山出てきます。
いつか紹介したいと思います。



先週末 久しぶりに岩手山の麓にある温泉に行ってきました。

いつも変わらぬ岩手山が どっしりと雪をかぶって盛岡の街を見守っていました。

posted by mari at 10:52| 岩手 ☁| Comment(16) | TrackBack(0) | 宮沢賢治作品とイーハトーブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
見事な紹介であらためて見直しています。
倉掛山は低山で誰でも登れるのが人気
ですね。
岩手山が目の前に!あっ!と思うようです。

今日ブログにチョットイヤなこと書きました。
書かなきゃ良かったのか?
コメント入ってなくて・・・

取り消したほうがいいと思う?
Posted by sakura at 2008年02月26日 15:26
地元のことなんですが、あらためて勉強になりました
よくこれだけの事をお調べになりましたね
写真もご自分で撮られた物なんでしょ
写真を入れての説明がとてもわかりやすくて、すばらしいです
ありがとうございます
Posted by ラベンダ♪ at 2008年02月26日 18:29
sakuraさん
登山なさるんですよね。

あちこちの山制覇なさったんでしょう^^
最近は難しいでしょうが山の話が出るとむずむずするのでは?・・・

どうかしたの??
ブログにコメントを残さないでごめんなさい。
Posted by 夏つばき at 2008年02月27日 01:19
ラベンダ♪さん
久しぶりに温泉の帰り八幡平まで足を延ばしてスキー場に寄ってきました。

写真いっぱい撮ってきました。
ブログ更新に使えるかどうか解らないのですが・・・
すぐ、ブログの事を考えてしまいます。
イヤですね、上手い写真でもないのに・・・

一つづつ紹介すればいいのに調べだすとあれもこれもと・・・
長たらしい 締まりのない 賢治の紹介になってしまいました。
2,3に分けて紹介すればいいのにと更新した先にすぐ反省。
悪い癖です。

Posted by 夏つばき at 2008年02月27日 01:28
ご自分の住んでおられるところを愛しているお気持ちが、ヒシヒシと伝わってきます。私も徳島の剣山をみながら育ちました。こういった風景を見ると、子どもの頃を思い出します。
Posted by herb_majoramu at 2008年02月27日 08:30
たびたびすみません。
プライベートブログを開設しました。お時間のあるときにでも、お立ち寄りください。
「ハーブ大好き」こと、majoramu
Posted by herb_majoramu at 2008年02月27日 08:34
名勝地、景勝地と云えば庭園や名刹を思い浮かべますが、名勝地に囲まれて住んでいらっしゃるのですね。
その名勝地を、宮沢賢治が朴訥とした語り口で紹介されているのですね。

写真がきれいで、名勝地が一段ときれいに見えます。
雪って本当にきれいですね〜
Posted by mube at 2008年02月28日 00:06
こんばんは〜〜
冬の岩手山、の雪景色も素敵ですね〜〜
何時見ても雄大などっしり構えた感じが
良いですね〜〜
瀬戸内、で近くに鞍掛島と云う島がありますよ〜〜
Posted by kyutarou at 2008年03月01日 23:25
夏つばきさん、こんにちは!

何枚もの岩手山の写真に、故郷を懐かしく思い出しています。私も、去年帰省中は東八幡平のほうの温泉に2回ほど行きました。

岩手にまつわる様々なお話で、ホンワカした気分に浸ることができる、夏つばきさんのブログ。いつも楽しみにしています。
Posted by メギー at 2008年03月02日 01:20
まだ、東北は雪に埋もれているのですね。
早く春が来て欲しいですね。

宮沢賢治の狼森は、子供たちに心を楽しくさせそうなお話ですね。何しろ薪の周りで狼が踊っているなんて....
チャット笑ってしまいました。
Posted by Miyoko at 2008年03月02日 03:16
majoramuさん
ようこそ。

コメントが遅れてすみません。
四国にお住まいなんですね、
一度も行ったことがなく憧れております。
でもネットだとひとっ飛びですね。
これからもよろしく!
Posted by 夏つばき at 2008年03月15日 04:23
majoramuさん
ブログにお伺いしました。
ステキなお庭や綺麗なお花がいっぱい。

ゲストブックに書き込みしてきました。
どちらもよろしく。
Posted by 夏つばき at 2008年03月15日 04:26
mubeさん
ごめんなさいね。

すっかり休んでもう雪もとけて春先のホコリが舞う季節になりました。

又ぼちぼち更新しますのでよろしく。
Posted by 夏つばき at 2008年03月15日 04:28
kyutarouさん
瀬戸内海にはいっぱい島がありますね。
「鞍掛島」のように 面白い名前が付いている島たくさんあるでしょう。

岩手の三陸海岸はリアス式海岸でやはり面白い形をした無人島がいっぱいありますよ。

Posted by 夏つばき at 2008年03月15日 04:37
メギー さん
休んでいてコメントが遅くなってしまいました、ごめんなさい。

今回の写真は私も八幡平の温泉に行った帰りの写真です。

もっとゆっくり温泉に浸かってきたい気分でした。
Posted by 夏つばき at 2008年03月15日 04:40
Miyokoさん
賢治の『狼森と笊森、盗森』の童話 面白いです。
岩手山の麓に、黒い松の森が四つあり「狼森(オイノもり)」、その次が「笊森(ざるもり)」、次は「黒坂森」、北のはづれは「盗森(ぬすともり)」があり、どうしてこんな面白い名前が付いたか・・のお話です。
Posted by 夏つばき at 2008年03月15日 08:55
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

人気ブログランキングへ

ランキングに参加しています。 見に来た方、 黒ハート のポチット よろしくね (~o~)v

人気ブログランキングへランキングに参加しています。
あなたの「クリック!」に感謝いたします。 人気ブログランキングへありがとう〜〜〜
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。