2008年04月09日

ふしぎの里・イーハトーブ

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賢治の「ざしき童子(ボツコ)のはなし」

昨年「朝ドラ」の「どんど晴れ」で 地元では一大ブームを巻き起こし一躍有名になった?盛岡や遠野。
ブームに乗ろうと話題作りに躍起でしたが、悲しいかなドラマの方は、最低視聴率だったとか・・・

その中に、よく登場していた「座敷わらし(ぼっこ)」は、柳田圀男の「遠野物語」でよく知られることとなりましたが、賢治もこの童話を書いています。
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ブームと関係なくなんと宿泊予約が3年待ちという旅館があります。
県北の金田一温泉郷にある旅館ですが、この部屋の一室に座敷童が今でも出るというのです。
その旅館のHPには、
「槐(えんじゅ)の間」は、平成23年(2011年)12月31日まで予約が入っていますので、今後のお予約は・・・・・・」とか、まあ〜〜驚きです。
恐いもの見たさに宿泊するのか真意は 解りませんが、なぜこんなに人気があるのでしょうか。
多くの人を引きつける、「座敷わらし(ぼっこ)」の魅力とはいったい何なのでしょうか。

この居そうで見たことのない座敷童とはどんな子どもなのでしょう。

敷わらしは一般に言うと妖怪ですが、恐いイメージではないですね。
いるような・・・いないような、いてほしいような・・とらえどころのない存在です。

座敷わらしの特徴は、「気配」です。
たとえば、誰もいない座敷で、ざわざわと箒の音が聞こえる。
のぞいてみても「お日さまの光ばかりそこらいちめ ん、明るく降って」いるだけ。
開け放った日本家屋の真骨頂とでも言いたくなる、なんとも美しい場面です。
誰も見たものはいないのですが、朝起きたらもう 掃除が済んでいて、いろりの炭には火が付いておりカマドのご飯は炊けていたりと 働き者の座敷わらしです。
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次の特徴は、「子供の数が増える」ことです。
座敷で遊んでいた十人の子供。
いつのまにか、数えてみると十一人いる。
「ひとりも知らない顔がなく、ひとり もおんなじ顔がなく」どう数えても十一人いる。
ここで増えた一人が座敷わらしです。
それまでは気づかずにみんなで楽しく遊んでいたのに、おやつ を十人分持ってくるとひとつ足りないので変だな、と気づくのです。
みんなと一緒に遊びたい陽気な座敷わらしですね。


第三の特徴は「福の神」であることです。
あるとき、紋付を着て袴をはいたきれいな子どもが、「飽きたから他へ行く」といって渡し舟にのる。
その子が行く先々の家は、その後栄え、飽きたからと言って出た家はおちぶれたのだそうです。
この行動は貧乏神と同じ、家についてその運命を左右する神様のパターンですね。


民俗学では、オバケは神様のおちぶれたものであるということにもなっていますが、それも不思議ではないのかもしれません。

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気になるのは、純日本家屋が少なくなり 座敷がなくなってきた最近の住宅事情。
座敷わらしは一体どこに登場したらよいのでしょうか。
大きなお世話かもしれませんが、 ダイニングキッチンとかクローゼットだのに出入りするする座敷わらし・・・・
考えたら オドロオドロした恐い妖怪になりそうですね。
という我が家も畳や座敷といった座敷わらしが好んで出そうな日本間のない家ですが。

さらに少子化、核家族化も、座敷わらしにとって どうにも都合がわるそうです。
本当に子どもが少なくなり、近所づきあいも稀薄になって来た昨今、あちこちで子どもたちが集まって笑い声が聞こえてくる場所も少なくなってきました。
今週は地元の小中学校の入学式が行われましたが、昔のような 着物を着飾った親子ずれの姿を見かけることも無くいつもと変わらない殺風景な景色です。
陽気で遊び好きな座敷わらしは、お友達が減ってしまっては、仲間に入って遊ぶ事も出来ませんね。

またひとつ、日本からオバケが減ってゆく。
なげかわしいことです。

賢治の童話、「ざしき童子(ボツコ)のはなし」の原作文を下に添付しました。
興味ありましたら読んでみてね。
これであなたも賢治の世界に又一歩前進ですよ。
あなたも賢治の童話の世界に きっと、夢中になることでしょう・・・
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*掲載の写真は、投稿型ストックフォト(写真販売)サイト「フォトライブラリーから「商用利用申請」をしてダンロードしたもので 私のイメージで使用しました。

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ざしき童子のはなし 
宮沢賢治

 ぼくらの方の、ざしき童子のはなしです。

 あかるいひるま、みんなが山へはたらきに出て、こどもがふたり、庭であそんで居りました。
大きな家にたれも居ませんでしたから、そこらはしんとしています。
 ところが家の、どこかのざしきで、ざわっざわっと箒の音がしたのです。
 ふたりのこどもは、おたがい肩にしっかりと手を組みあって、こっそり行ってみましたが、どのざしきにもたれも居ず、刀の箱もひっそりとして、かきねの檜が、いよいよ青く見えるきり、たれもどこにも居ませんでした。

 ざわっざわっと箒の音がきこえます。
 とおくの百舌(モズ)の声なのか、北上川の瀬の音か、どこかで豆を箕にかけるのか、ふたりでいろいろ考えながら、だまって聴いてみましたが、やっぱりどれでもないようでした。
 たしかにどこかで、ざわっざわっと箒の音がきこえたのです。

 も一ど こっそり、ざしきをのぞいてみましたが、どのざしきにもたれも居ず、ただお日さまの光ばかり、そこらいちめん、あかるく降って居りました。
 こんなのがざしき童子です。
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「大道めぐり、大道めぐり」

 一生けん命、こう叫びながら、ちょうど十人の子供らが、両手をつないで円くなり、ぐるぐるぐるぐる、座敷のなかをまわっていました。
どの子もみんな、そのうちのお振舞によばれて来たのです。
 ぐるぐるぐるぐる、まわってあそんで居りました。
 そしたらいつか、十一人になりました。
 ひとりも知らない顔がなく、ひとりもおんなじ顔がなく、それでもやっぱり、どう数えても十一人だけ居りました。
その増えた一人がざしきぼっこなのだぞと、大人が出てきて云いました。
 けれどもたれが増えたのか、とにかくみんな、自分だけは、何だってざしきぼっこだないと、一生けん命眼を張って、きちんと座って居りました。
 こんなのがざしきぼっこです。

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 それからまたこういうのです。
 ある大きな本家では、いつも旧の八月のはじめに、如来さまのおまつりで分家の子供らをよぶのでしたが、ある年その中の一人の子が、はしかにかかってやすんでいました。
「如来さんの祭へ行くたい。如来さんの祭へ行くたい」と、その子は寝ていて、毎日毎日云いました。
「祭延ばすから早くよくなれ」本家のおばあさんが見舞に行って、その子の頭をなでて云いました。
 その子は九月によくなりました。
 そこでみんなはよばれました。
ところがほかの子供らは、いままで祭を延ばされたり、鉛の兎を見舞にとられたりしたので、何ともおもしろくなくてたまりませんでした。
あいつのためにめにあった。
もう今日は来ても、何たってあそばないて、と約束しました。
「おお、来たぞ、来たぞ」みんながざしきであそんでいたとき、にわかに一人が叫びました。
「ようし、かくれろ」みんなは次の、小さなざしきへかけ込みました。
 そしたらどうです、そのざしきのまん中に、今やっと来たばかりの筈の、あのはしかをやんだ子が、まるっきり痩せて青ざめて、泣き出しそうな顔をして、新らしい熊のおもちゃを持って、きちんと座っていたのです。

「ざしきぼっこだ」一人が叫んで遁げ出しました。
みんなもわあっと遁げました。
ざしきぼっこは泣きました。
 こんなのがざしきぼっこです。

 また、北上川の朗明寺の淵の渡し守が、ある日わたしに云いました。

「旧暦八月十七日の晩に、おらは酒のんで早く寝た。
おおい、おおいと向うで呼んだ。
起きて小屋から出てみたら、お月さまはちょうどおそらのてっぺんだ。
おらは急いで舟だして、向うの岸に行ってみたらば、紋付を着て刀をさし、袴をはいたきれいな子供だ。
たった一人で、白緒のぞうりもはいていた。
渡るかと云ったら、たのむと云った。
子どもは乗った。
舟がまん中ごろに来たとき、おらは見ないふりしてよく子供を見た。
きちんと膝に手を置いて、そらを見ながら座っていた。
 お前さん今からどこへ行く、どこから来たってきいたらば、子供はかあいい声で答えた。

そこの笹田のうちに、ずいぶんながく居たけれど、もうあきたから外へ行くよ。

なぜあきたねってきいたらば、子供はだまってわらっていた。
どこへ行くねってまたきいたらば更木の斎藤へ行くよと云った。
岸に着いたら子供はもう居ず、おらは小屋の入口にこしかけていた。
夢だかなんだかわからない。
けれどもきっと本統だ。
それから笹田がおちぶれて、更木の斎藤では病気もすっかり直ったし、むすこも大学を終わったし、めきめき立派になったから」

 こんなのがざしき童子です。
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*掲載の写真は、投稿型ストックフォト(写真販売)サイト「フォトライブラリーから「商用利用申請」をしてダンロードしたもので 私のイメージで使用しました。

posted by mari at 09:52| 岩手 ☁| Comment(12) | TrackBack(0) | 宮沢賢治作品とイーハトーブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
子供が残している本棚にある”注文の多い料理店”しか知らない私は、賢治の世界に一歩前進でなくて通になった気分です(^v^)

福の神の座敷わらしには会いたい!!人生変わるかも・・・なんて思うのでしょうね〜
「どんど晴れ」に出てくる座敷わらしは可愛かったし・・・視聴率悪かったの?
私、朝ドラは結婚以来見るものだとばかり思って欠かしたことないのですが・・・
皆さん、テレビはどのチャンネルを見ていらっしゃるのでしょう・・??
それとも、朝は忙しいからテレビは見ない!!のでしょうか??
グウタラ主婦としては気になるところです・・・
Posted by mube at 2008年04月09日 12:09
夏つばきさん、私、座敷わらしに会ったみたい・・・コメント書いて戻ってみたら素敵な画像が続々登場・・・
私、賢治の世界に入りすぎて画像が目に入らなかった!!こんなことってあり???

2番目の写真、京都の美山町に旅行した時の茅葺き屋根の民家を思い出しました。
Posted by mube at 2008年04月09日 12:23
mubeさん
賢治の生まれた市にはこういう名前のレストランがあります。
いつか紹介してみたいと思っているんですが。
決して食べられたりはいたしませんよ。

本州の遠く離れた南のmubeさんが 賢治通になってくれたなんて とっても嬉しいです。

調子こいてまたまた書いてしまいそうですよ。
Posted by 夏つばき at 2008年04月09日 15:34
mubeさん
写真後から貼り付けしたんですよ・・・・
早めのご来店ありがとう・・・・ですね。

視聴率の件ですが、民放のドラマと比較すれば 今でもダントツに朝ドラはトップのようですが、歴代朝ドラと比較しての数字が低いようです、最近の朝ドラは。

一日に総合テレの2回、BSで2回土曜日は総集編と何度も放送していますから無理もないですね。

前回の「チリトテチン」も新しい「瞳」も面白そうですね。
Posted by 夏つばき at 2008年04月09日 16:09
こんにちは。

素敵な物語ですね。
会って見たいかな。

本当に日本家屋が少なくなり、こんな物語が生まれる土壌では無くなりました。
Posted by さなえ(花の庵) at 2008年04月11日 16:26
夏つばきさん、こんにちは!

ざしきボッコの話も茅葺屋根の民家も、懐かしいです!障子や囲炉裏や黒光する木の床。。。純和風の風情に、ざしき童子の伝説!夏つばきさんのお陰で、思い出しました!小さい頃、田んぼのあぜ道で、小川がちょっと深くなっている辺りで「河童がでたらどうしよう!」と怖くなった日のことを。
^^

可笑しなものですね。あの当時は、伝説なんて言葉を知りませんから、本気で怯えていましたよ。(笑)
Posted by メギー at 2008年04月13日 21:19
ウチにも座敷ワラシに住んでもらいたいですぅ。お部屋も空いてるよ〜(^▽^)

「どんと晴れ」の岩手の妖怪キャラ(?) 可愛くて大好好きでした。特に座敷ワラシちゃんと河童。
だいぶ前の話になりますが、遠野の民話にちなんだイベントがあったとき、カリンちゃんという河童のキャラクターがありましたよね。ご存知ですか? それも可愛くって好きでした。もう使われていないのかなぁ?
Posted by めいぷる at 2008年04月15日 10:09
さなえ(花の庵)さん
レス遅くなって済みません。

こんな物語が生まれる家屋やのんびりとした景色が多い岩手でしたが、田舎とはいえ今では岩手らしい特徴が失われつつあります。
自分を考えると矛盾していますが、ちょっびりさみしいです。
Posted by 夏つばき at 2008年04月15日 11:08
メギーさん
野暮用でしばらく休んでいました。
レス、遅くなってごめんなさいね。

メギーさんの子ども時代はどんなお話を聞かされたのでしょう・・・
祖母祖父から聞いたお話をそちらに行っても思いだし 小さい子どもたちに話継がれたことでしょうね。

有名なお化け?でしょうが 小さい頃私は知りませんでしたよ。 
知っていたら相撲とったりして・・・ね。
Posted by 夏つばき at 2008年04月15日 11:21
めいぷるさん
遠野のカリンちゃん
今も現役バリバリの大活躍ですよ。

昨年の全国高校サッカーで遠野出場の際もスタンドで応援していました。

遠野では今一番有名かな?
Posted by 夏つばき at 2008年04月15日 11:26
私この記事に触発されて来年季節のいいときに家族で遠野に行ってみることにしました。
座敷童子のお話は子供の頃聞かされました。
私がよく聞いていたのは10人で座敷で手をつないで輪になってぐるぐる回っていたら11人になっていましたっていぅお話・・・。
賢治さんの語り方やっぱりいいですね!
最後の「こんなのがざしき童子です」がなんとも素朴でいいです!
添付の写真の数々素敵です。
ますます遠野への旅楽しみになりました!
Posted by Yuko at 2008年04月15日 17:12
Yukoさん
ごめんなさい<(_ _)>
毎年日本に帰って来られるんですか?
公演ででしょうか?

貴重な日本での時間遠野に来られるなんて・・・
本当に実現できたら嬉しいです。
合いたいですね、花ちゃんやYukoさんに
Posted by 夏つばき at 2008年05月08日 11:29
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